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TOPICS(2007年6月30日)
◆第4回 通常総会◆ 報告
日時:2007年6月8日(金) 午後13:00 開始17:00頃終了 場所:コープ.イン.京都
第4回通常総会も約60人の参加者で大盛況でした。
講演の内容をご紹介いたします。
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講演 テーマ:「地球温暖化防止の環境経済戦略」
京都グリーン購入ネットワーク代表幹事
京都大学経済学部・大学院経済学研究科地球環境学堂教授
植田 和弘氏
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今日お話ししたいことは「地球温暖化防止の環境経済戦略」というタイトルに全てが表れています。地球温暖化の防止は、受け身の「対策」ではなく「戦略」として行っていく必要があります。また、「環境戦略」や「経済戦略」ではなく、両面を併せ持つ「環境経済戦略」であることが大事です。
ドイツで行われたサミットにおいて、2050年までに温室効果ガスを50%削減することについて、アメリカも含めて考慮するということになったことは非常に重要なステップでした。その背景として、温暖化についての科学的知見が完全ではありませんが、いろいろと分かってきていることがあります。IPPCの第4次報告書では今後地球の気温が1.1度から6.4度の間で上昇することが予測されています。IPCCの日本語訳は「気候変動に関する政府間パネル」となっていますが、私の認識では「change」の日本語訳は「変動」ではなく「変化」であると思います。つまり、気候が変わってしまうということですね。IPCCの報告書で明らかになったことのひとつは、人為的な原因により気候が変わってきているということです。これは非常に重要なことです。かつては、人間の力で気候を変えることができませんでした。
もうひとつ大事なこととして、いろいろな種がたくさんいる、生物多様性ということが人間社会の基盤の一つですが、現在は多くの種を絶滅させています。気候と生物多様性という人間が生きていくための最も大切な生命維持装置を壊し出しているということは、大変大きな問題です。
もちろん、変化というのは自然的にも起こるわけですが、現在の人為的原因によるものは変化のスピードが速すぎます。IPCCは自然科学者が集まって、どのようなことまで明らかになってきているのかを確認しているわけですが、科学者の立場から言えば、2050年までに50%削減ではなくて、もっと早期に、大幅に削減しないといけないということになります。問題は科学者のメッセージを私たちや政治がどう受け止めるかということになります。
ドイツのサミットでは、環境大臣でもあったメルケルさんというドイツの首相が熱心に取り組まれたこともあって、安倍総理のCO2 50%削減という提案につながっているわけです。そのように、科学者の知見によってそのまま実行されるのではなく、国際政治を通じて実行されるのです。ただし、政治は危ぶまれるものです。京都議定書にしてもブッシュ政権のアメリカが離脱するということがあって危ぶまれるわけです。アメリカが離脱した理由は大きく二つあって、ひとつは経済成長を阻害する、もうひとつは中国やインドが入ってないということですが、インドの一人当たりのエネルギー消費量はアメリカの20分の1しかないのです。それならばまずアメリカが減らすべきというのが常識的な判断かもしれませんが、アメリカとしては今後のことも考えているのでしょう。
また、国際政治問題とともに世代間の不公平問題があります。例えば、温室効果ガスの削減をもう少し先送りすれば、新しい技術が出てきて、より安いコストで削減できるのではないかという期待があります。しかし、本当に必要なときにそのような技術がぱっと出てくるのかというと大変あやしいかもしれません。むしろ、早くからシグナルを出して、削減に向けて動くべきという考えもありますし、そのような考え方の対立があるわけです。どのようにすれば効果のある形で、主要な排出国が全て入った形でまとまるか、今後非常に注目されるところです。
京都議定書が発効して国際的枠組みの今後のあり方が課題になってきています。京都メカニズムという排出量の取引や先進国が途上国に投資をして削減した排出量を先進国の排出枠として認める制度などがどの程度進展していくかということが次の国際制度を考えるときに影響するでしょう。京都議定書をベースにして発展していくのか、違う形になるのか、利害対立などもある中で動いていくと思います。
日本の地球温暖化対策に京都議定書目標達成計画というのがあり、1990年度に比べて6%削減することになっていますが、今やっているのは結局、自主的取り組みだけです。自主的にやっていて目標を達成できるのかというと必ずしもそうではないと思います。私はエコノミストですから、炭素の排出量はコストと捉えるべきだと思います。しかし、現在はCO2を排出することがコストになっていない。実際はCO2を排出することで、いろいろな国で何らかの損害が発生する。だからCO2の排出はコストなのです。人を雇う方が世の中のためになり、CO2を排出する方が問題であるというのが、ヨーロッパ的な環境税制改革の考え方です。私はそのような考え方がある程度は必要ではないかと思います。そのために、排出量取引や環境税など、どのような仕組みが良いのかということを議論しなければならないと思います。
温室効果ガスというのは、今すぐ1年で削減するという性格のものではなく、10年20年かかるもので、そのためにできるだけコストのかからない方法でやっていくことは良い方法だと思います。そのためには環境に取り組む企業は減税されるとか、排出量によって利益が上がるとか、環境倫理的な活動をする企業が評価される仕組みが必要です。
温暖化防止というのは「新しい仕事」だと思います。2050年までに50%削減することは、今の延長線上にはありません。例えば日本では今7900万台位の車が走っていますが、同じ人口比率で中国が車を所有すると8億台になります。これは世界で今走っている台数と同じです。中国もインドも実際その方向に向かっていますが、そうなると車の抜本的な技術革新がないことにはどうしようもならなくなってきます。私たちの生活スタイル自身がかなり抜本的な変化必要なのです。それは創造的な仕事であると思います。温暖化防止のものづくりが必要ではないか。今までは車は早く走ることなどを考えていたわけですが、これからは同時に温暖化防止のものづくりをしなければならない。ものづくりを根本から変えようというのは大変なことかもしれませんが、チャレンジすべき新しい仕事です。そのような新しい仕事が促進されるためには、マーケット自身がそういう要素を組み入れる必要があり、そのために炭素税や排出量取引などに意味があると言っているわけです。市場の中に温暖化防止を組み入れる一番わかりやすい方法は炭素の価格だと思います。価格は一番わかりやすい情報なのです。価格だけで全て分かるわけではないですが、それに環境ラベルをつけることより、直接的な情報を追加することができます。それによって環境に配慮されたものを選択する人が増えると社会が変化します。
単に価格や品質だけではなく、それに加えて環境についても考えて選択するという方向に向かうと作る方も刺激します。消費者もそのようなことが分かる能力が必要になります。そして、グリーン購入が温暖化防止のために成功していくためには人々がより生活の質を大事にしていく必要があると思います。
例えば「脱物質化」ですが、これは「経済が発展していくと物質の使用量が増えるというのが常識ですが、経済が発展しても物質の使用量が増えない」という考え方です。発想として大事なのは「もの」そのものではなくて「機能」です。例えば自転車に乗るときには移動するという機能が大事であって所有しなくてもよいわけです。住宅で言えば日本の建設サイクルはヨーロッパの4分の1か3分の1です。より質の良いストックをつくって、長くメンテナンスしながら使えば廃棄物は減る。生活の質を充実させながら、物質とかエネルギーの使用量を減らせる可能性は大いにあって、本格的にそのようなことを考えていく必要があります。そこには新しい仕事の可能性がたくさんあると思います。そういう意味でグリーン購入もだんだん視野が広がって、生活スタイル全般をグリーンにするという要素が出てくるであろうと思います。それは、もう一つは温暖化防止のまちづくり。温暖化防止のものづくりと、温暖化防止のまちづくり、温暖化防止の生活づくり、この3つがそろったらうまくいきます。
まちづくりで有名なのはドイツのフライブルグです。中山間地域では自動車は不可欠ですから、自動車を減らせるのは都市なのです。フライブルグではどのように行っているかと言うと路面電車中心のまちづくりです。路面電車は頻繁に来ますので利便性が非常に高く、自動車が街の中心に乗り入れないことで汚染が減らせます。また、重要な点としては高齢者も街に出やすくなり、人の移動が増えることによってまちのにぎわいが増します。
温暖化防止の中心になるのは、交通とエネルギーです。温室効果ガスを排出する化石燃料を最も大量使用しています。その2つはなくてはならない重要なものですが温室効果ガスは出てもらったら困るということなので、だからこそ新しい考えが必要です。それでフライブルグの場合は太陽エネルギーを非常に重視しています。「ソーラーリージョン」といって、太陽エネルギーに基づいて地域というのを開発しなおす、ということをやっています。
最初に戻りますが、地球温暖化というのは対策ではなくて戦略であるべきです。みなさん一人ひとりの戦略、一つひとつの企業の戦略が必要です。なぜ、戦略であるかというと新しい仕事であるからです。
フライブルグの環境局長さんが言われていた言葉は、「リージョナルエコノミカルエコロジー」、つまり、環境に適合した地域経済ということです。その取り組みを進める中で雇用が増えているわけです。日本の通念では環境というと産業活動が停滞するのではないかとかいう考えがどうしてもあるわけですが、そのような考えは止めないといけない。実際は温暖化防止の中で新しい仕事にどんどん取り組んでいる企業もたくさんあります。もちろん、環境税かかるとすごくコストがかかる企業もあります。日本のものづくりの特徴を生かして戦略的に取り組んでいくことによって経済の質を強化することが良いのではないかというのが私の考えです。
温暖化防止の戦略でいうと、創造性のある企業がどう新しい仕事に取り組んで行くかということです。「創造性」ですからこうしなさいというのではできないのです。それぞれが考える必要がある。そのような考えのなかで、産業も強くなるし、地域も強くなる。そういう取り組みができるかどうかが今後の課題だと思います。
グリーン購入については、温暖化防止のものづくり、まちづくり、生活づくり、これが相互にうまく結びついて進めていきましょうということで終わります。
質疑応答
質問:ライフスタイルを変えていく必要性に気付く人を増やしていくために、何か良いアイデアはありますか。
植田:私は命令されて行動するのはダメだと思います。ですから、非常に遠回りのようですが、できるだけみんなが議論する中で、そういうことが分かることが大事だと思います。創造というのはコミュニケーションから生まれます。湯川秀樹先生が「これからの研究者は対話型であれ」と言われていましたが、コミュニケーションの場をたくさんつくることが大事であると思います。
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